「なんでそんなん言うん?」
と嫁に言われることがある。
誰でもそうだと思うが、寝起きのときに髪の毛がバサバサになっていることがある。
いわゆる寝癖。
私は短髪なので、あまり寝癖がついてる!という感じにはなりにくい。
起きたら顔を洗うのと同時に、洗面台の蛇口をシャワーに切り替えて、頭から水をかぶってバスタオルでぐしゃぐしゃーっと拭いて、お出かけの準備完了。
ドライヤーを使わないでいいくらいの髪の長さが楽だし好きだ。
あ、そうですか、と私のことはどうでもいい。
ヘアースタイルを含め、ファッション系のことについては、まったく分からないのだが、嫁の髪型は?と聞かれると、たぶんショート、と答えるのが妥当なんだと思う。
いや、そんなことを書こうと思ったんじゃなかった。
嫁の寝癖で、横にピコっと跳ねているとき、私は「発芽米」と呼ぶ。
頭の真上にぴょんと立つような感じのときは「しずくちゃん」としているが、これはなかなか出ない。
そして、バサバサになっているとき、これはよくあるが、いろいろな呼び方があるが、あるとき「ダーディーハリ子」とした。
そんなことを言ったっけなぁという感じなので、だいぶん前のことと思うが、その「ダーディーハリ子」というのが、どういうわけか嫁の印象に残ったようなのだ。
いずれにしても、どの名付けも、端的に言ってしょうもなく、なんのフィルターもかけずに、口をついて出ているだけのものだが、なぜか「ダーディーハリ子」。
ダーディーハリーは、クリント・イーストウッド主演の映画。
主人公のハリーは、直情径行、意味は、感情のまま行動する、ということらしく、嫁の寝癖の縦横無尽の様子をパッとそう言い表したのだろうと思う。
それにしてもくだらん…
「『ダーディーハリ子』とか、なんでそんなん言うん?」
という嫁の言葉には、私としては、嫁が、嫌がっているふうでもなく、呆れている感じもなく、また、本当に理由を知りたがっている、というわけでもなさそうに思える。
どういう気持ちで言うんだろう。
そして、私は、なんでそんなことを言うんだろう。