Kポイント

「一日一善」とか言われるように、良い行いというのは一般的に推奨されている。

これも厳密にいうと流動的で、時代によって、国によって、人によって、いろんな状況によって違ってくるもののようなんて、一概に「これは善だ」とは言いにくい感じがする。

いや、そういうことを論じたいわけでなくて…

例えば、

・落ちているゴミをゴミ箱に捨てる

もう一歩ひろげて、

・地域のゴミ収集場所を掃除する

その他、

・年配の方や体の自由が効きにくい人に座席を譲る

・寄附金箱や義援金箱に小遣いから寄付する

などということは、状況如何に関わらず、おおよそ悪い方に転ぶことは少ないんじゃないかと思うので、善行と言えそうだ。

ところで、善を積む、徳を積むと、自分にも良いことがある、みたいな考え方もあって、宗教でも、それは天国へ行ける条件であったりするんでしょ?

嫁も私も、何か特定の宗教を信仰しているわけではないが、良いことをすると自分にも良いことがある、という考え方は、その是非はともかく、何となくあるかもしれない、という気持ちを持っている。

あるとき、私が落ちていたゴミを拾ってゴミ箱に捨てたときだったか、

嫁「お、えらい」

私「たまにはなぁ」

嫁「Kポイント貯まったわ」

私「Kポイント…」

嫁「ちゃり〜ん♪」

私「小銭かいな」

嫁「神様ポイント!」

私「神様が発行してるん?」

嫁「そう!良いことしたら貯まっていくねん」

私「Kポイント・カードとかあるん?」

嫁「ない」

私「ほな、いくら貯まったか分からんやん」

嫁「ちゃんと付けてるから大丈夫」

私「どこで?」

嫁「神様が」

私「神様本人がかい?」

嫁「そ」

と、こんな話しだすと、なんぼでも続けてしまいそうになる私やが、この辺にしといて。

どうも「Kポイント」というのは、神様ポイントで、良い行いをすると貯まっていき、たくさん貯めて良いことを起こそう!というもののようだ。

ちなみに嫁曰く、Kポイント目的で良いことをやっても、言い換えれば、無欲の善行でなくても、ポイントは貯められるらしい。

それからというもの、落ちているゴミを拾うときには、「Kポイント貯めよ…」と言いながら拾ったりもする。

逆に、そうすることで、自然にゴミ拾いができる感じがするから不思議なもんだ。

そういや最近、隔週くらいで3度ほど、よく行くショッピング・モールに設置されている、医療従事者への寄付金箱に、小銭を入れたっけ。

Kポイントが貯まりますように。

とびうお

人工の浜辺のある公園ができていたので立ち寄った。

水際まで行って、ぼーっと海を眺めていると、魚が跳ねた。

嫁「あ、跳ねてる!」

私「お、ほんまや」

嫁「また跳ねた!」

私「結構でかいな」

嫁「とびうおにしてはデカくない?」

私「いや、とびうおちゃうやろ」

嫁「とびうおじゃないのに飛ぶの?」

私「川とかでも跳ねるやん」

嫁「飛んでる魚はとびうおやと思ってた」

私「クジラも飛ぶやん」

嫁「あれは哺乳類やん」

私「あぁ、そうやな」

嫁「ね」

私「うん」

嫁「うん」

お互いに、何かを共有して、納得したような形でこの会話はひと段落したのであった。

干したズボンにびっくりしないシステム

うちでは、洗濯物をベランダとか外で干すことはほとんどない。

洗濯機はドラム式で、いちおう乾燥までやってくれるし。

ただ、洗いと乾燥を自動設定すると、大きめの洗濯物、例えばズボンとかのポケットあたりなんかが乾き切っていない時があったりする。

なのでだいたい、ズボンは洗濯機から出したあと、浴室乾燥機で数時間くらい追加で乾かすことが多い。

先日、嫁がそれに関連して、ある悩みを打ち明けてきた。

嫁「ズボンとかよくお風呂で乾かしてるやん」

私「うん、乾かしてる」

嫁「いつも浴室乾燥機してるの忘れて、お風呂場のドア開けたとき『うわっ…!』てなるねん」

私「なんでや…洗面所もぬくくなってるし、扉開けたら熱いの分かりそうなもんやけど」

嫁「熱いのは気にならへんねんけど『なんかあるっ!』って思うねん」

私「干しとるもんなぁ」

嫁「なんかある!てなるねん」

私「干してたズボンな」

嫁「うわ!て声出してしまう」

私「そないにびっくりなんや」

嫁「うん。自分の声がびっくりする」

私「すごいなぁ」

嫁「で、またびっくりしてもうた!と笑ってまうねん」

私「そうなんやな」

嫁「いっつも…!」

私「いっつも」

嫁「何回もびっくりするねん」

私「何回も」

嫁「もう何回も!」

と、なにやら、意志の疎通ができてるのかどうかさえ分からん会話の感じもするが、結局は、自分で干したズボンに何度もびっくりするようだ。

まぁ、嫁の持ち前の、イノシシ的な行動を想像すると、そういうことが繰り返されても不思議ではないかなぁと思うところはある。

そんな悩みを聞いてからしばらくしたある日の夜、仕事から帰ってきて、いつものように洗面所で手を洗った。

通常より室温が高くむっとしていたので「あぁ洗濯回してズボンを干してるんやなぁ」と思った。

ふと浴室のドアを見て「ふふふ」と笑った私である。

私「なかなか考えたな」

嫁「え?なにを?」

私「こないだ話してた、干してるズボンにびっくりするというやつ」

嫁「あ!そうそう!」

私「あれなら気づくかぁ」

嫁「あのシステムを導入したからもう大丈夫と思う!」

私「いやぁ、あんた自分をナメたらアカン、札を貼るのを忘れることありそう」

嫁「あるかも!あとは、貼ってるのに気付かんとかも!」

私「それあるかな…」

嫁「分かった!紙を外さないとドアが開かないとかは!?」

私「…そこまでする?」

・・・

どうやら、嫁が考案したシステムは、稼働初日から懸念事項が出てきたようで、さらなる改善が必要かも知れない。