我々夫婦は、「映画好き」というほどではないと思うが、ときどきレンタルでDVDを借りてきて家で観たり、映画館へ出向いたりする。
頻度としては、数カ月に1度くらいだろうか。
映画館へ観に行って見た作品で、いちばん最近のは、ドイツの映画「希望の灯り」。
その前は、インド映画「バジュランギおじさんと、小さな迷子」。
どちらもいろいろ思い巡らせることがあって、いい映画だったなと思った。
その前は・・・と考えると、結構な数を一緒に見に行ったんだなぁと思うが、思い出すのにも時間がかかりそうなのでこれくらいに。
だいたい映画館を出た後は、「どうだった?」から始まり、賛否や、どのシーンが良かった、分からんかったなどと感想を話す。
この時間も、映画を観ている時間と同じくらいか、それ以上に楽しいものだ。
結構、同じところで気持ちが動いていたり、感想を言い合いつつ「あーそこも良かったなー」ということも多いので、その辺りのフェイズというか、好みは近いのかもしれない。
ところで、観に行った映画すべてが「良かったね」となるわけではなく、我々的にはイマイチだったなというものもある。
ある映画では、後から聞いた話だが、嫁としては冒頭から「あぁ…こういうノリかぁ…厳しい…」と思っていたそうだ。
私は最初は分からなかったが、物語が進むにつれて、だんだんと気持ちが離れていって、最後の方は、見どころを何とか探そうとしていたような記憶もあるようなないような・・・。
映画の途中で、「どうね、これ?」といった感じでお互いに顔を見合わせることもあったかもしれない。
ただ、その映画を観ている最中に、私が鼻をすすっている時間があったらしく、嫁は、私が感動して涙していると思ったらしく、気をつかって「面白くない」空気を出さないようにしてくれていたようだ。
映画が終わって嫁から「どうやった?」と聞かれ、「なんかよう分からんかった」と答えた私に、嫁は、
「やんなぁ! 途中で鼻すすってたから『え・・・!泣いてんの!?』って思うたよ~。感動してたら邪魔すんの悪いしさぁ」
と。
嫁は、自分と重なっていない私の価値観というかツボみたいなものを見つけても、それを排除しようとしない感じのところがある。
それは、お互いにうまく付き合える、ちょっとしたコツみたいなものなのかもしれない。
嫁にとって、どうしても認められないところがあった場合は、その話をちゃんとしてくるだろうと思う。
そうそう、これは嫁に聞いた話だったと思うが、人間は「価値観が合う」ということよりも、「これはダメだ、イヤだ、というのが一致していること」の方が重要らしい。
言われてみれば、価値観の完全一致を、たとえ夫婦間であっても、要求できることではないし、なんとも納得させられてしまう話だ。

