海水浴

何年か前までは、毎年のように夫婦2人で海水浴場へ行っていた時期がある。

もっと以前は、海でがっつり泳ぐなり、浮き輪に乗ってはしゃいだり、ぼーっと浮き輪に浮かんで揺られてみたりしていたか。

私は浮き輪でゆられるようなのは酔ってしまうのでダメだったが…。

そういうのを何年かやってきて、だんだんと、ちょっと海に浸かって軽く泳いで、ひと息ついて休憩がてら、クーラーボックスで冷やしつつ持ってきたビールを気分良く浜辺で飲む。

ちょっとほろ酔いになってきたら、酔い覚ましにまた軽く水へ浸かる、を何度か繰り返しながら夏を、海をを楽しむ、という感じになった。

そう言えばここ数年は行ってない気がする。

行ってしまえばきっと楽しめるんだろうけど、ちょっと面倒になっているところもあるかもしれない。

もうすぐ夏がやってくるということで、そんなことを思い起こしていたら、いつ頃だったか、ある年の海水浴のことを思い出した。

それなりに遊んで浜辺でまったりしつつ、最後にちょっと浸かろうかという感じで、嫁は海の方へ向かった。

後ろから眺めていると、嫁は波打ち際に腰を下ろして、足を前に伸ばして座って自分の足を砂に埋め始めた。

しばらくすると、小学校1,2年生くらいの子だろうか、女の子が嫁の方に近づいてきて、2メートルくらい離れたところで同じように足を前に出して座り、自分の足を砂に埋め始めた。

大きいの(←殴られるかも)と小さいのが同じ格好をして、波打ち際で砂と戯れている図。

その時、スマホ持っていたっけな?

写真を撮っていたら、結構お気に入りの一枚になっていたかもしれないが。

なんとなく思うのだが、嫁が何の気なしに砂で遊んでいるのをみて、女の子は「楽しそ〜」と思って寄ってきたんじゃないかなと。

嫁にはそういった、童心を引き寄せる何かがあるような気がする。

そういう意味では、少し私も似ているところがあるかもしれない。

昔、ネイチャーゲームとか言って、自然に溶け込むというコンセプトだったか、山とかでも、枯葉の中に体を埋めてじぃ〜っとしているような活動が流行ったことがあったような気がする。

考えてみると、嫁は海辺の砂に埋まるのが好きなのかもしれない。

別の年の海水浴で、顔の正面だけ砂から出したような状態で、身体全体を埋めるようなことをしていることがあった。

たぶん、関西圏、京都府か兵庫県の北部か、あるいは淡路島あたりの時だったと思う。

その数日後、嫁は耳に入って自分では取り切れない砂を取ってもらうために、耳鼻科へ行ったようだ。

そこの先生に、とても細かい砂だったので海外ですか?と聞かれたらしい。

淡路島のときだったら「ええまぁ、そうですの」と答えたのだろうか。

そういう「ええカッコしい」のところは嫁にはないなぁ・・・

雑さ

ふと「雑」の反対語、対義語が何かと調べたら、ネットの辞書では「純」「整」などと出てきた。

漢字ってひと文字でいろんな意味があるから、もとの字がどういう意味で使われるかによって、反対語も変わってくるんだろうな。

私がいま知りたかったのは、どちらかというと、「雑」に対する「整」に近いか。

「雑」という漢字を置き換える言葉を調べると、こんなのが出てきた。

「質が低い」という観点からは、粗末、ひどい出来、C級。

対応などに欠けている部分があるという点からは、いいかげん、ぞんざい、テキトー。

「洗練度が低い」という観点では、未熟、大ざっぱ、大まか、大味。

とか。

ぱっと二者択一で対比するなら、

嫁 ⇒ 「雑」
私 ⇒ 「整」

という構図になるのではないか。

我々を知っている人、嫁のことを知っている人は、「あはは!そうかも〜!」となると思うが、嫁を見たことあるというくらいの人は「へ〜!意外〜!」という感じになるのではないだろうか。

良いとか悪いとか言うことではないが、嫁は、親をして「イノシシ」と評される気質を持っているようだ。

私は会社員として20年くらいを過ごしているが、嫁は、数多くのバイトをやったり、フランチャイズをやったりしてきた。

また、学生時代は、何ヶ所か海外へも出て、ある国では犬に噛まれて、狂犬病の恐れがあるとか言うので、その国で注射を受けたり、帰国してから、日本の病院で分からん注射受けたらダメだと注意されたり。

イノシシの例えが言い得て妙だなと思うのは、嫁は「ウリ坊」の一面も持っていると感じるからだ。

以前、JAFのパンフレットの表紙がウリ坊だったときに、確か記事の中に「イノシシの子どもが川に浸かってしまっていて冷えて?動けなくったっていたのを地面に上げてあげると、安心したのか眠ってしまいました」とかいうのがあったと思うが、それを読んで私は「あんなみたいや」と言って笑った覚えがある。

こうやって書きながら考えていると、嫁に対して「雑」という言い方は少し違うかなぁとも思えてきた。

大ざっぱ、大味、という方がいいのかもしれない。

・・・う~ん、それも違うか・・・。

私がかなりいいかげんで、嫁が断然計画性があるところもあるし、ジャンルによってもいろいろだしなぁ。

あぁ・・・相対的に考えるなら、嫁に比べると逆に私が「細かい」「ちまちましている」「優柔不断」「小さい」などと表現する方がしっくりくるように思えてきた・・・

嫁のことを「雑」、対比して自分のことを「整」として、記事を書こうと思って書き始めたんだが、そう画一的に言えるようなものではないな・・・

しかも書きながら、嫁って「雑」という文字はあんまり当てはまらんなぁと思えてきた。

何だそりゃ。

微妙なずれ

私は晩酌を楽しむために、アテをつくることが結構多い。

というか、飲みながら作るのが好きで、とくに勤め先が休みのときなんかは、たぶん私の頭の近くに「ふんふんふん♪」と鼻歌の吹き出しが出ているんではないかという感じで、まずはビールをぷしゅーっと開けて飲みつつ、調理にとりかかる。

作るは、いわゆるお酒を飲む人の定番メニューから、かつて、かなりの頻度で居酒屋に通っていた時期があり、そのとき食べたことのあるものの記憶をたどって作るなど。

最近は、ネットで酒がおいしく飲めそうな料理のレシピを調べてみたり、本屋でつまみ本を買ったりして、アテのレパートリーを増やそうとしている。

ちょっと前までは、私が何も考えずに作っていると、和風寄りの味付けが多くなる傾向があったように思う。

あるとき、いつものように、粉末だしと醤油で豚肉と野菜を炒めようとしていたが、ふと、ちょっと変えてみようと思い、台所にブイヨンがあるのを見つけ、ネットで調べてみると、ブイヨン炒めなる料理のレシピを見つけた。

へー、じゃあ今日はこれにしてみるか、ということでブイヨン炒めをつくる。

冷凍枝豆を解凍し、大根おろしにしらすのせて、シーチキンにチーズのせてチン、などといった具合で。

改めて、乾杯。

 私 「今日の炒めもん味いつもと違わんか?」

 嫁 「ん?」

   (もぐもぐもぐ)

 嫁 「柔らかい~!」

「わしは『味』を聞いとるんや」と突っ込みそうになる。

お笑いIQの高い嫁のことだから、突っ込めるかどうかボケて試しているのかもしれない・・・

 私 「うまい?」

 嫁 「あつい!」

※ 私は味を聞いている ⇔ 嫁は温度を答えている

夫婦というのは、近くにいても微妙に遠いのかも知れない。

ちょっとしたパラレル・ワールドである。