夏毛から冬毛 2019

今年は暖冬らしい。

どこかの積雪も、ひと月くらい遅かったというニュースも出ていたし。

ふと、そうなってくると、夏毛から冬毛へ、といったように、毛が入れ替わる動物なんかも、その時期が遅れたり早まったりするんもんなんだろうか。

というのも、うちでは例年より遅れて? 冬毛をまとう生き物が出た。

嫁である。

風呂から上がるとお互いにパジャマに着替えて、上着を着るのだが、これまでは、薄手のパーカーのようなものを着ていた嫁が、先日から、白のふわふわの上着を羽織ることがちょくちょく出てきた。

完全に毎晩が白のふわふわではないので、夏毛から冬毛に変わっていく過渡期であるようだ。

もし、そんな動物が群れでいた場合なら、夏毛と冬毛が混在しているような時期にあたるんだろうと思う。

嫁 「これ出動してん」

私 「真っ白やんけ(笑)」

嫁 「なんか動物みたい…」

私 「ははは、冬毛やな」

嫁で季節を知ることもある、ということであります。

1時間半後に会う嫁と私

勤め先の会社を出て、てくてくと歩きながら嫁に電話。

私 「もしもし」

嫁 「もしもし」

私 「遅うなったけど今から帰るわ」

嫁 「うん」

私 「今からやから1時間半くらい後になるから、はよ声聞きたいなぁ思うて」

嫁 「ふふふ」

私 「こんなん言うて、俺のまわり誰もおらんよな…」

嫁 「ははは」

私 「まぁそういうことやから1時間半くらいで帰るわ」

嫁 「帰っといで」

私 「ほなまた後でな」

嫁 「うん、あとで会おうぞ〜」

なんじゃそりゃ…

というある日の帰路。

Kポイント

我々夫婦には、少しずつ、Kポイントが貯まっていっている、と思っている。

「Kポイント」と検索エンジンで調べてみると、ゲームか何かのポイントでそういうのがあるようでヒットしたんだが、うちで言うのはそれじゃない。

どういうときにうちで言うところのKポイントが貯まるかというと、たとえば、落ちているゴミを拾ってゴミ箱に捨てた、とか、バスや電車で高齢の方に席を譲った、など。

Kというのは、神さまのこととなっている。

たぶん、たまたま私がゴミを拾ったことがあったとき、

嫁 「あ、ちゃりーん♪」

私 「なんや」

嫁 「Kポイントが貯まった」

私 「Kポイント…」

嫁 「そう」

私 「K…」

嫁 「神さまポイント」

善行?をすると貯まる?神さまからもらえるポイントと言えそうだ。

もしかすると、神さまに願い事をするときなどには、そのポイントが使えるのではないか。

あるいは、神さまのポイントなだけに、貯めたポイントを使うタイミングは自分で決めることができないのか。

あるとき「嬉しい〜♪」とか「やったー!」と思ったことが起こったなら、ポイントがあったから、ということなのかもしれない。

私にとって、Kポイントという存在が明らかになった?ので、それは貯まってる方が良さそうやなと、最近では「Kポイント貯めよう」と言いつつ拾うことも多くなった。

はじめの頃は、そう言いながらの行動だと、付与されるポイントが目減りしそうな感じもしたものだが、実際のところはどうなんやろう。

創始者に聞かないと分からないが、聞いても「あー分からへん」と言われそうだ。

そう、むしろ「Kポイント貯めよう」と言いながらの方が普通になっている。

ただ、不思議なことに、Kポイント付与という、自分のメリットのためにゴミを拾っている、と考える方が、自然にゴミを拾うことができる感じかするのだ。

もちろん普通に、道に落ちているゴミが気になって拾う人もあるでしょうけど、私は、見て見ぬ振りもすることが多いし、ふと、せっかく拾おうと思ったとしても、どこか偽善っぽいなぁと思ってしまったりして躊躇するようなところがある。

私のような人には、善行をするのはKポイントを貯めるためだ、と考えると、比較的自然に、そういう行動を取りやすくなる気がする。

嫁の発想もなかなかおもろいもんだなぁと思ったのである。

Kポイント・カードというのがないので、いくつ貯まったか、いつ使ったか、といったことが確認できないのだが、あると思う人にはある、というわけだな。

オーシャンズ11

冬休みに、映画でも観ようかということで、3つほどまとめてDVDを借りてきたもののうちの最後に「オーシャンズ11」、晩酌しながら観た。

映画は、新作なんかだと映画館にもたまに行くが、レンタルするときも含め、だいたいが嫁が選んだものを観ることが多い。

私のアンテナが立っていないのかもしれないが、嫁は映画にしろ、お笑いや音楽のライブなんかにしろ「これ行ってみぃひん?」という話をすることがちょくちょくある。

私は嫁の提案にのっかっているだけだが、そのチョイスで結構楽しめるというのはいいことだなぁと思う。

趣味が同じだとは言えないだろうけれど、大きなくくりで言えば一致している部分がかなりあって、価値観も近いところがあるのだろうか。

私 「借りてきたやつって『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』『ミナミの帝王』『オーシャンズ11』の3つやったよな」

嫁 「うん。あれ? なんかお金の話のやつばっかりやな・・・」

私 「そういやそうやな(笑)」

一番はじめに観たのは「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」だったが、これについてはお互い微妙にしっくり来ていない感じもあるようだった。

テンポは良かったし退屈はしなかったものの、見終わったときの感想が盛り上がりにかける感じ?

結局、この映画のメッセージ的なものが汲み取れなかったというか。

金とドラッグとセックス、混沌としている中で成り上がっていく、かつてのバブリーな激しさの表現などは、そんなこともあったんだろうなぁと思うものの、本で言うところの「深い読後感」みたいなものが薄い感じになった。

嫁も少々そんな感じだったのかもしれない。

「ミナミの帝王」は、毎度のこと大ハズレはなかった。

過去の記事「ミナミの帝王〜ブランドの重圧〜

最後の「オーシャンズ11」は、楽しめた。

嫁によるとこの作品は「人がひとりも死なない」というのもひとつ、話題に上がっているとのことだった。

激しいシーンもありつつも、確かにそうだったなぁ。

ザ・エンターテインメント、アメリカ映画らしく軽快、爽快、という感じでそういう楽しみ方ができたかなと。

それに、大命題のカジノ強盗と、ジョージ・クルーニーが元嫁を取り戻すのとが、いい具合の絡み方だったように思う。

そう、ジョージ・クルーニーの元嫁役のともてチャーミングな女優さん。

名前が出てこない・・・

私 「この人ほんまチャーミングやなぁ」

嫁 「そうやなぁ」

私 「あれにも出てたやん」

嫁 「あーそうそう」

私 「なんやったかな、ほれ」

嫁 「あ、『プリティ・ウーマン』!」

私 「おう、それそれ、なんて名前やったかな」

嫁 「あ~・・・出てけぇへん・・・」

私 「あー、えーっと・・・」

嫁 「・・・」

私 「・・・」

嫁 「・・・あ!分かった!」

私 「あかん・・・ヒントくれ」

嫁 「えーっと・・・」

私 「・・・」

嫁 「キャンドル!ライトが!ガラスのピアスにはじけて滲む~♪」

私 「チェッカーズ!」

嫁 「お前~彼の腕の~踊る♪」

私・嫁 「ハートブレイク!サタデーナイト!哀しいキャロルがショウ・ウィンドウで♪」

~中略~

私 「オーマイ ジュ―リア・・・『ロバーツ』!」

嫁 「当たり!」

と「ジュリア・ロバーツ」の名前を思い出すのに、チェッカーズの「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」の1番をまるまる歌わなければならなかった。

そこそこ酔っ払ってもいたので、単純に楽しく歌っただけだったが、最後には答えが導き出されるという、見事なヒントであった。

笑いひとしきり、嫁が何かに思いを馳せるような考えるような素振り。

嫁 「記憶って面白いなぁ」

私 「ほぉ」

嫁 「パッと出てこんでも、記憶にはちゃんと残ってるんやなぁ・・・」

私 「確かに・・・」

ジュリア・ロバーツを思い出してスッキリし、すべてが解決したような気持ちの私だったが、嫁は嫁で、なにか新たな関心事を見出していたようである。

ミナミの帝王〜ブランドの重圧〜

「ミナミの帝王(ブランドの重圧)」のDVDをTSUTAYAで借りてきて観た。

先週だったか、車で出先から帰っている途中で、映画でも借りようかということで、嫁にチョイスしてもらった。

借りてきたのは、冒頭の「ミナミの帝王」そして「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」「オーシャンズ11」。

残すところ「オーシャンズ11」だけなので、今日か明日には観てしまおうと思っている。

ところで、昨夜は酒を飲みながら「ミナミの帝王」を鑑賞。

その日は初詣に行って、夜店の屋台で貝のつぼ焼きをアテにワンカップを飲んだこともあって、ほろ酔いで見始めた。

このシリーズは、ある意味で「水戸黄門」などと同じで、最終的には主人公の「銀ちゃん」がいわゆる悪を成敗する形で終わるのが常だ。

ただ、前者と比べると、いろいろと法律やらゼニの話やらの現実の事柄が絡むので、より楽しめるところがある感じがする。

嫁のセレクトにはちょくちょく入ってくる「ミナミの帝王」だが、私もかなり楽しめてよろしい。

今回は「ブランドの重圧」というもの。

メインストーリーは、老舗のふぐ屋の2代目が、不景気やら、ディスカウント店の出現やら、仕組まれた罠などで、受け継いだ店の土地を手放さなくてはならなくなり、自殺に追い込まれそうになる。

2代目は、命くらい大切なその店の土地を手放すことに最後まで抵抗し、嫁さんの、手放すことも考えようという提案に対しても「お前には関係ない!俺1人の問題や!」と怒鳴る。

そのシーンで嫁は突如DVDを一時停止した。

そして、

嫁 「えーなんでー!一緒に店やってるんやから2人の問題やんかー!」

私 「まぁそうやけど」

嫁 「ちがうのー?」

私 「男のややこしい思い入れっちゅうのもあるんやろう」

嫁 「でも、関係ないっていうのはちがうでしょうが!」

私 「まぁ関係はあるわなぁ」

嫁 「やんなぁ。はい進めるよー!」

どうも、一緒に店をやっているのに、関係ない!というセリフに反応したようだ。

最終的に、その店は手放すことになるのだが、もともと3500万の申し入れがあったのたが、「銀ちゃん」の諸々の作戦が功を奏して、1億という価格で譲ることになり、借金や人間関係も含め、おおよそ丸く収まることになった。

私 「面白かったわ」

嫁 「…」

私 「面白くなかったか?」

嫁 「命くらい大事な店、3500万やったら売らんけど、1億やったら売るんや…」

私 「そこ?(笑)」

嫁 「金額で変わるんや…」

私 「いやいや、それも無いとは言えんやろうけど、先代の奥さんが『先代の魂は店にあるんやなくアンタ(2代目)に宿ってるんやからね』と言うてたやろ? それがあっての手放しやろ」

嫁 「あぁそうか…」

私 「たぶん。ただ、1億言うたらちょっと魂にも言い訳したくなるかもしれんけどな(笑)」

・・・

嫁が反応したシーン、私も「あかんあかん、そういうやりとりになるとマズイ、せっかく2人とも何とかしたいという気持ちは一緒やのに…」と思っていた。

嫁が「関係ないことない!」というのも同じ発想なのかもしれない。

男も女もお互いに分かりにくいことはあって仕方がないとは思うが、良くしたいと思っている2人がこじれるというのは、いやはや避けたい状況よなぁと思う。

翌朝、嫁は布団の中でも「1億円やったら売るんや…」と寝ぼけて言っていたように思う。

「すまん、俺も売るかもしれん…」と思いつつ嫁の寝顔をそっと撫で、寝室を離れたのである。