
河合隼雄さん

嫁とのやりとりなどを旦那が書いているブログです。

タイトルを見て、メロディーが出てくる方は、40代半ばの我々よりも先輩にあたる方々かもしれない。
石原裕次郎さんのブランデーグラスの歌詞のフレーズ。
我々の親世代が若い頃に、人気絶頂だった俳優さんということになるのだろうか。
なぜ石原裕次郎さんが話に出てきたのははっきり覚えていないのだが、晩酌のときに雨音が聞こえていて、ふとこのフレーズが出てきたのか。
あるいは、それなりに呑んでいて、もう一杯~とおかわりしようとしたときに、どちらかが「こ~れ~でおよしよ♪そんなに強くないのに~♪」と、この曲のはじめを歌ったのかもしれない。
歌詞はどういうわけか二人とも出てきたんだが、なんという曲だったかタイトルが出て来ず、「雨は降る降る」「石原裕次郎」と検索して、「ブランデーグラス」にたどり着いた。
酔っぱらってもいるし「雨は降る降る」が面白くなって歌っていたわけだが、You Tubeで聞いたバージョンでは、コーラスの女性の声がなかなかガッツリ入ってきていて、インパクト大。
それに感化されて、どちらかが「これでおよしよ♪」と謳い出すと「あああー!」とコーラスを入れる、という展開になった。
2人とも音域が足りずカスカスの声になりつつも「これでおよしよ」「あああー!」が交互に繰り返された晩酌であった。
お酒のアテに「こしょう振る振る」「あああー!」
「『雨は降る降る』やが、あんたよう寝るし『嫁は寝る寝る』や」などと内容のない会話をしたのを薄っすら覚えている。
あまりちゃんと聞いたことがないのだが、昔の歌は、歌い手さんも歌詞も、なんというか「しっかりしてる」という感じがする。
先日「バビロンの大金持ち」という本を読んだ。
昔からあるベストセラーなんだそうだ。
貯蓄や投資の基本の考え方が物語風に書かれている感じで、結構面白くすぅっと読めた。
要約すると、まずは、収入の1割を自分のためにとっておくことから始まり、資産は置いておくだけではなく投資しましょう、そして、投資の際には、然るべき人からのアドバイスに従いましょう、といった内容。
最近、財テクや投資に関することは注目を集めているようで、本屋には関連本が本当にたくさん並んでいる。
中には、単にあおっているだけに見えるものも少なからずあるようなので、人それぞれ自分にしっくりくるものを見つけるのが大切なんだろうなと思う。
さて、その「バビロンの大金持ち」という本の中で、運、ツキという話が出てきた。
「ツキのある者は、川に放り込んでも、そこから岸にたどり着くだけではなく、川の底から真珠を掴んであがってくる」 といったことが書かれていた。
ツキを持っている者は、単純に目的を果たすだけではなくて、プラスアルファの成果をあげる、ということなのだろうと思う。
私 「あんたを川に放り込んだら真珠持ってあがってくるかもな」
嫁 「なにそれ」
私 「もしそうなったら豚に真珠やがな」
嫁 「もう、違う!細豚に真珠!」
「あれ?・・・ってやっぱり豚やん・・・」
豚の呪縛にかかったしまったようである。

嫁が、孫子の本を読んでいる。
結構面白いようで、ちょくちょくその話をしてくれる。
超簡単に言うと、負けない、致命傷を負わない、ということを命題として、孫子がどう考えて、事を成していたか、ということが書かれているのだろうと想像する。
孫子に限らず、ことわざとか、言い伝えとか、先人たちが残した言葉に、そういう内容のものはよく出てくるし、昔から言われていることにも関わらず、実践が難しいことというのは往々にしてある。
「勝って兜の緒を占めよ」「急がば回れ」「逃げるが勝ち」といったものもそういうことだろう。
こういう言葉は、言葉そのものに価値があるんじゃなくて、それを読んだ人、見た人、その本人がどれだけ深く感銘を受けるかで、影響度が違うのだと思う。
同じ言葉でも、5年前に見たときは特に何も感じなかったけど、いま読むとすごく沁みる、なんていうこともよくあることだ。
たぶん、その人がその時に必要としている言葉であった場合に、大きな意味を持って吸収できるのだろうと思う。
嫁にとっては、いま孫子の考え方、言葉が吸収しやすい状況なのかもしれない。
ちょっと大袈裟に言うと、嫁はだいたいある物事をやり出して集中し始めると、周りはそっちのけで没頭するタイプであると、本人も言うが、私もそうかなと思う。
孫子の本を読んで感じたことを、嫁が身振り手振りを交えて話す。
嫁 「いま孫子の本読んでて、防御を覚えようとしてる。」
私 「ほぉ」
嫁 「そう。前までは『がぁ~!』って攻めて『がぁ~!』って負けることが多かったんよ」
私 「なるほど」
嫁 「『どぉ~ん!』っと向かっていて『どぉ~ん!』ってやられるっていうか」
私 「うん」
嫁 「勢いづいたら『ぐわぁ~!』って行ってしまうけど、逆に『ぐわぁ~!』って落ちてしまったり」
私 「『がぁ~!』『どぉ~ん!』『ぐわぁ~!』とかほんま関西人やなぁ(笑)。日本語やから普通に話してくれたら分かるよ」
嫁 「あははは!」
私は孫子の本を読んだことがないけれど、嫁から聞いている限りでは、平常心、不動心、沈着冷静、といったワードが浮かんでくる。
その孫子の思想を、この嫁がどういうふうに吸収して消化、昇華していくのかが楽しみである。