私は勤め先から帰るのは比較的遅い方ではないかと思う。
もちろん、半端なく忙しい仕事の人もいて、毎日が午前様、徹夜も珍しくない、という人もおられるだろうから、一概に言えないけれど。
かつては私も、その日中に帰宅できれば「早めに帰れたなぁ」と思っていた数年間を過ごしたことがあったが、今はそれに比べればだいぶん早い。
だいたい22時か23時台に晩酌を始めるのが常、という感じだろうか。
先日は少し早く帰宅して、21時くらいにうちに着いて「お、今日は晩酌の時間がわりととれるな♪」と思った。
だいたい帰ったときには、ほとんど嫁は家にいて「ただいま」「おかえり」とやる。
ところが先日、帰り着いたとき、家の灯りがついていなさそうに見えた。
鍵を開けて入ったが、どこの部屋も電気がついてないし、そういやいつも並べてある靴もない、ということで、外出しているようだった。
さすがに、いよいよイヤになって家出したのでは!?なんていうことは考えないものの、いつもいる嫁がいない家は、やっぱり少なからず雰囲気が違うものだなぁと感じた。
とりあえずビール…は、嫁が帰ってきたときにしようと思い、コーヒーを入れて、パソコン作業に。
22時ごろになって、ちょっと一報入れてみようかなと思い、
「嫁〜!どこ行ったん!?」
と、LINEを送ってパソコン作業に戻る。
しばらくしてLINEを確認するも、嫁の得意技「未読スルー」である。
そうこうしてるうちに、玄関の鍵を開ける音がして、帰ってきたようだ。
いつもとは「ただいま」「おかえり」の役割が逆。
そう思うと、いつも私の「ただいま」に嫁の「おかえり」が出迎えてくれていることを、改めて、ありがたいことだなぁとふと思ったのである。
居間に上がってきた嫁は「飲もかー」と、缶ビールをプシュッと開けて、2つのコップに注ぐ。
しばらくして、スマホのLINEの画面を見て「あ、今見たわ!ごめんごめん!」と言う嫁と、「ただいま」「おかえり」を交代した日であった。