甘いパン

ある日の昼飯どうするかの話になった。

うちでなんかちゃちゃと作って食べるか、ファミレスか定食屋にでも行くかと相談していると、

嫁 「商店街に昼になったらお弁当売りに来てるからそれは?」

という提案があり、私も乗っかることにしててくてくと出かけた。

嫁 「この辺やねんけど…」

とのことで、どうもその日は売りに来ていなかったようだ。

ということで、スーパーで弁当でも買ってうちで食おうかということに。

嫁は、豚カツ定食みたいなやつと唐揚げのパックをささっとカゴに入れていた。

私は「ちょっと待ってな…」と悩んだあげく、焼きそばと焼き飯にした。

レジに並んで見ていると、昼飯の他に、ティラミスとモンブランのプリン?のカップがカゴに入っていた。

相変わらず、おやつ好き?デザート好き?である。

さて、頂きますと食べたのだが、結構なボリュームで、2人とも腹いっぱい。

おやつは腹に入らなそうで、明日に回すことにした。

嫁 「あれは明日の朝にしよう」

私 「あぁ、良いかも」

嫁 「朝に甘いもん結構おいしい」

私 「そういや、子供のとき誕生日のときのケーキの残りを翌朝に食べるのんが旨かった記憶あるわ」

嫁 「分かるー、おいしいねんなー」

と、明日の楽しみとすることに。

そして、翌朝は、嫁の方が先に起きた。

後からノソノソとまだ寝ぼけ気味の私の目に入ってきたのは、昨日のティラミスとプリン、そして小さな食パン、スプーンが食卓に載っている光景だった。

嫁 「これを食パンにのせて、甘いパンを作ろうと思う」

私 「あ…はい…」

嫁 「これをこうして…」

私 「…」

嫁 「もぐもぐもぐ…」

私 「…」

嫁 「おー!成功やー!」

私 「…」

嫁 「プリンの方もやってみよー」

私 「…」

嫁 「このプリンの上にのってるやつ、しっかりモンブランやー」

私 「俺も食うてみる…」

嫁 「おいしいー!」

私 「お…ほんまやな」

嫁 「成功やー!」

と、

嫁が作ろうと思った「甘いパン」は、確かに甘くておいしいものであった。

「甘いパンを作ろうと思うねん」

この言い方を思い出すと、何故か「ふふっ…」と笑えてしまう今日の私であります。