奥様は魔女だったのです、か?

嫁が左手で飯を食っている。

しばらく気づかぬふりをしていたが、私の方が我慢できなくなった。

私 「何してんねんな?」

嫁 「ん?」

私 「いや、なんで左手で食うてんのな」

嫁 「あぁ、いつもと違う筋肉使おと思って」

私 「筋肉使うて…」

嫁 「うん」

私 「ダイエットとかじゃなく…」

嫁 「うん、ちがう」

私 「そうなんや…」

と、聞いてみたものの「いつもと違う筋肉を使う」という目的以外に、情報は得られずだった。

嫁はときどきそういうことをする。

こんなふうに聞いてみるのではあるが、どうにも、フワッとした感じというか、結論がないというか、少なくとも私がどこか納得できない感じで話が終わることがある。

私の腹におさまるように問い詰めるほどのことではないし、当の嫁は「いつもと違う筋肉を使う」ということ以外の理由はなさそうなので、ほとんど掘り下げることはないのだが、とにきあんまりしつこく聞くと、

「どこが気になんの?」

「それの何が面白いん?」

という感じで、質問しているこっちがおかしいのではないかと思わされる。

新手のディベート戦略、あるいは、ちょっとした忍法か魔術、とでも言えるもののようでもある。

私の奥様は魔女なのかもしれない?