ちょっとした交代

私は勤め先から帰るのは比較的遅い方ではないかと思う。

もちろん、半端なく忙しい仕事の人もいて、毎日が午前様、徹夜も珍しくない、という人もおられるだろうから、一概に言えないけれど。

かつては私も、その日中に帰宅できれば「早めに帰れたなぁ」と思っていた数年間を過ごしたことがあったが、今はそれに比べればだいぶん早い。

だいたい22時か23時台に晩酌を始めるのが常、という感じだろうか。

先日は少し早く帰宅して、21時くらいにうちに着いて「お、今日は晩酌の時間がわりととれるな♪」と思った。

だいたい帰ったときには、ほとんど嫁は家にいて「ただいま」「おかえり」とやる。

ところが先日、帰り着いたとき、家の灯りがついていなさそうに見えた。

鍵を開けて入ったが、どこの部屋も電気がついてないし、そういやいつも並べてある靴もない、ということで、外出しているようだった。

さすがに、いよいよイヤになって家出したのでは!?なんていうことは考えないものの、いつもいる嫁がいない家は、やっぱり少なからず雰囲気が違うものだなぁと感じた。

とりあえずビール…は、嫁が帰ってきたときにしようと思い、コーヒーを入れて、パソコン作業に。

22時ごろになって、ちょっと一報入れてみようかなと思い、

「嫁〜!どこ行ったん!?」

と、LINEを送ってパソコン作業に戻る。

しばらくしてLINEを確認するも、嫁の得意技「未読スルー」である。

そうこうしてるうちに、玄関の鍵を開ける音がして、帰ってきたようだ。

いつもとは「ただいま」「おかえり」の役割が逆。

そう思うと、いつも私の「ただいま」に嫁の「おかえり」が出迎えてくれていることを、改めて、ありがたいことだなぁとふと思ったのである。

居間に上がってきた嫁は「飲もかー」と、缶ビールをプシュッと開けて、2つのコップに注ぐ。

しばらくして、スマホのLINEの画面を見て「あ、今見たわ!ごめんごめん!」と言う嫁と、「ただいま」「おかえり」を交代した日であった。

夏毛から冬毛 2019

今年は暖冬らしい。

どこかの積雪も、ひと月くらい遅かったというニュースも出ていたし。

ふと、そうなってくると、夏毛から冬毛へ、といったように、毛が入れ替わる動物なんかも、その時期が遅れたり早まったりするんもんなんだろうか。

というのも、うちでは例年より遅れて? 冬毛をまとう生き物が出た。

嫁である。

風呂から上がるとお互いにパジャマに着替えて、上着を着るのだが、これまでは、薄手のパーカーのようなものを着ていた嫁が、先日から、白のふわふわの上着を羽織ることがちょくちょく出てきた。

完全に毎晩が白のふわふわではないので、夏毛から冬毛に変わっていく過渡期であるようだ。

もし、そんな動物が群れでいた場合なら、夏毛と冬毛が混在しているような時期にあたるんだろうと思う。

嫁 「これ出動してん」

私 「真っ白やんけ(笑)」

嫁 「なんか動物みたい…」

私 「ははは、冬毛やな」

嫁で季節を知ることもある、ということであります。

1時間半後に会う嫁と私

勤め先の会社を出て、てくてくと歩きながら嫁に電話。

私 「もしもし」

嫁 「もしもし」

私 「遅うなったけど今から帰るわ」

嫁 「うん」

私 「今からやから1時間半くらい後になるから、はよ声聞きたいなぁ思うて」

嫁 「ふふふ」

私 「こんなん言うて、俺のまわり誰もおらんよな…」

嫁 「ははは」

私 「まぁそういうことやから1時間半くらいで帰るわ」

嫁 「帰っといで」

私 「ほなまた後でな」

嫁 「うん、あとで会おうぞ〜」

なんじゃそりゃ…

というある日の帰路。

Kポイント

我々夫婦には、少しずつ、Kポイントが貯まっていっている、と思っている。

「Kポイント」と検索エンジンで調べてみると、ゲームか何かのポイントでそういうのがあるようでヒットしたんだが、うちで言うのはそれじゃない。

どういうときにうちで言うところのKポイントが貯まるかというと、たとえば、落ちているゴミを拾ってゴミ箱に捨てた、とか、バスや電車で高齢の方に席を譲った、など。

Kというのは、神さまのこととなっている。

たぶん、たまたま私がゴミを拾ったことがあったとき、

嫁 「あ、ちゃりーん♪」

私 「なんや」

嫁 「Kポイントが貯まった」

私 「Kポイント…」

嫁 「そう」

私 「K…」

嫁 「神さまポイント」

善行?をすると貯まる?神さまからもらえるポイントと言えそうだ。

もしかすると、神さまに願い事をするときなどには、そのポイントが使えるのではないか。

あるいは、神さまのポイントなだけに、貯めたポイントを使うタイミングは自分で決めることができないのか。

あるとき「嬉しい〜♪」とか「やったー!」と思ったことが起こったなら、ポイントがあったから、ということなのかもしれない。

私にとって、Kポイントという存在が明らかになった?ので、それは貯まってる方が良さそうやなと、最近では「Kポイント貯めよう」と言いつつ拾うことも多くなった。

はじめの頃は、そう言いながらの行動だと、付与されるポイントが目減りしそうな感じもしたものだが、実際のところはどうなんやろう。

創始者に聞かないと分からないが、聞いても「あー分からへん」と言われそうだ。

そう、むしろ「Kポイント貯めよう」と言いながらの方が普通になっている。

ただ、不思議なことに、Kポイント付与という、自分のメリットのためにゴミを拾っている、と考える方が、自然にゴミを拾うことができる感じかするのだ。

もちろん普通に、道に落ちているゴミが気になって拾う人もあるでしょうけど、私は、見て見ぬ振りもすることが多いし、ふと、せっかく拾おうと思ったとしても、どこか偽善っぽいなぁと思ってしまったりして躊躇するようなところがある。

私のような人には、善行をするのはKポイントを貯めるためだ、と考えると、比較的自然に、そういう行動を取りやすくなる気がする。

嫁の発想もなかなかおもろいもんだなぁと思ったのである。

Kポイント・カードというのがないので、いくつ貯まったか、いつ使ったか、といったことが確認できないのだが、あると思う人にはある、というわけだな。

オーシャンズ11

冬休みに、映画でも観ようかということで、3つほどまとめてDVDを借りてきたもののうちの最後に「オーシャンズ11」、晩酌しながら観た。

映画は、新作なんかだと映画館にもたまに行くが、レンタルするときも含め、だいたいが嫁が選んだものを観ることが多い。

私のアンテナが立っていないのかもしれないが、嫁は映画にしろ、お笑いや音楽のライブなんかにしろ「これ行ってみぃひん?」という話をすることがちょくちょくある。

私は嫁の提案にのっかっているだけだが、そのチョイスで結構楽しめるというのはいいことだなぁと思う。

趣味が同じだとは言えないだろうけれど、大きなくくりで言えば一致している部分がかなりあって、価値観も近いところがあるのだろうか。

私 「借りてきたやつって『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』『ミナミの帝王』『オーシャンズ11』の3つやったよな」

嫁 「うん。あれ? なんかお金の話のやつばっかりやな・・・」

私 「そういやそうやな(笑)」

一番はじめに観たのは「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」だったが、これについてはお互い微妙にしっくり来ていない感じもあるようだった。

テンポは良かったし退屈はしなかったものの、見終わったときの感想が盛り上がりにかける感じ?

結局、この映画のメッセージ的なものが汲み取れなかったというか。

金とドラッグとセックス、混沌としている中で成り上がっていく、かつてのバブリーな激しさの表現などは、そんなこともあったんだろうなぁと思うものの、本で言うところの「深い読後感」みたいなものが薄い感じになった。

嫁も少々そんな感じだったのかもしれない。

「ミナミの帝王」は、毎度のこと大ハズレはなかった。

過去の記事「ミナミの帝王〜ブランドの重圧〜

最後の「オーシャンズ11」は、楽しめた。

嫁によるとこの作品は「人がひとりも死なない」というのもひとつ、話題に上がっているとのことだった。

激しいシーンもありつつも、確かにそうだったなぁ。

ザ・エンターテインメント、アメリカ映画らしく軽快、爽快、という感じでそういう楽しみ方ができたかなと。

それに、大命題のカジノ強盗と、ジョージ・クルーニーが元嫁を取り戻すのとが、いい具合の絡み方だったように思う。

そう、ジョージ・クルーニーの元嫁役のともてチャーミングな女優さん。

名前が出てこない・・・

私 「この人ほんまチャーミングやなぁ」

嫁 「そうやなぁ」

私 「あれにも出てたやん」

嫁 「あーそうそう」

私 「なんやったかな、ほれ」

嫁 「あ、『プリティ・ウーマン』!」

私 「おう、それそれ、なんて名前やったかな」

嫁 「あ~・・・出てけぇへん・・・」

私 「あー、えーっと・・・」

嫁 「・・・」

私 「・・・」

嫁 「・・・あ!分かった!」

私 「あかん・・・ヒントくれ」

嫁 「えーっと・・・」

私 「・・・」

嫁 「キャンドル!ライトが!ガラスのピアスにはじけて滲む~♪」

私 「チェッカーズ!」

嫁 「お前~彼の腕の~踊る♪」

私・嫁 「ハートブレイク!サタデーナイト!哀しいキャロルがショウ・ウィンドウで♪」

~中略~

私 「オーマイ ジュ―リア・・・『ロバーツ』!」

嫁 「当たり!」

と「ジュリア・ロバーツ」の名前を思い出すのに、チェッカーズの「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」の1番をまるまる歌わなければならなかった。

そこそこ酔っ払ってもいたので、単純に楽しく歌っただけだったが、最後には答えが導き出されるという、見事なヒントであった。

笑いひとしきり、嫁が何かに思いを馳せるような考えるような素振り。

嫁 「記憶って面白いなぁ」

私 「ほぉ」

嫁 「パッと出てこんでも、記憶にはちゃんと残ってるんやなぁ・・・」

私 「確かに・・・」

ジュリア・ロバーツを思い出してスッキリし、すべてが解決したような気持ちの私だったが、嫁は嫁で、なにか新たな関心事を見出していたようである。