奥様は魔女だったのです、か?

嫁が左手で飯を食っている。

しばらく気づかぬふりをしていたが、私の方が我慢できなくなった。

私 「何してんねんな?」

嫁 「ん?」

私 「いや、なんで左手で食うてんのな」

嫁 「あぁ、いつもと違う筋肉使おと思って」

私 「筋肉使うて…」

嫁 「うん」

私 「ダイエットとかじゃなく…」

嫁 「うん、ちがう」

私 「そうなんや…」

と、聞いてみたものの「いつもと違う筋肉を使う」という目的以外に、情報は得られずだった。

嫁はときどきそういうことをする。

こんなふうに聞いてみるのではあるが、どうにも、フワッとした感じというか、結論がないというか、少なくとも私がどこか納得できない感じで話が終わることがある。

私の腹におさまるように問い詰めるほどのことではないし、当の嫁は「いつもと違う筋肉を使う」ということ以外の理由はなさそうなので、ほとんど掘り下げることはないのだが、とにきあんまりしつこく聞くと、

「どこが気になんの?」

「それの何が面白いん?」

という感じで、質問しているこっちがおかしいのではないかと思わされる。

新手のディベート戦略、あるいは、ちょっとした忍法か魔術、とでも言えるもののようでもある。

私の奥様は魔女なのかもしれない?

消費期限を目標に

嫁が、スポーツクラブの株主優待券を、順調に消費しているようだ。

ここ数週間は、火曜日が「体育の日」と設定しているようで、昨夜の寝しなにそんなことを言っていた記憶がある。

勤め先から帰宅して、思い出して何の気なしに聞いてみると「行ったで!」とのこと。

なぜか私も「おーよう行った!」と答えた気がする。

もともと私ら、いわゆる体育会系で育ったようなところがあるんで、目標に向かって頑張る、という性癖は、少なからずある気がする。

もしかすると、嫁の方が徹底している感じもあって、今回のようにちょっとした達成があると、私も少し、感動というとかなり大袈裟だが、お!と思わされるところがある。

中年になって、運動する機会があまりないんで、ものぐさな?嫁が、すぐに必要とされないが、たぶん大事なこと、と思われる、運動しに行くというのは、私的には評価に値するという感じか。

本来は、行きたくて行くものだが、優待券を消費するために行く、というのもどうかという意見もあるが、そうでもして運動することも、時には必要ではないかと思う。

必要と思うことも人それぞれと言えども、分野によっては、少々プレッシャーに感じるようなことでも、ある方がいいのかもしれないなぁと思う。

嫁のことばかり面白がって書いているが、私にも同じように言えることだよなぁ。

私なら、週末に買った食材を、食べずに捨てることになるともったいなくて落ち込むので、もし、その日食べたくないものでも、なんとか消費しないといけない…と思う感じだろうか。

そのあたりの感覚のすり合わせは、私らが生きている間の、晩酌などで理解を深めて行けばいいのかなぁ。

私らの放電

朝晩めっきり寒くなってきましたが。

とくに冬場は、風呂に入って湯舟に浸かれるというのは、幸せのひとつと言えると思う。

冷えた体で入ると、初めは熱く感じる。

嫁曰く「チリチリする」ということらしいが、だんだんと慣れてきて「ふぅ〜」と、体が温もる感じはいいもんだ。

ところで、脱衣所で風呂に入るところだった嫁は、「寒い寒い!」と言いながらセーターを脱いで、急いで風呂場に入ろうとしているところに、先に入った私もいた。

バタバタしている嫁を見て「愛おしいやっちゃなぁ」と頭を触ろうと手を伸ばしたところ、

バチッ!

私 「イタッ…!」

嫁 「あははは!静電気!」

もう大丈夫だろうともう一度、頭に手を伸ばすと、

バチ!!

私 「アタッ…!!」

嫁 「あはははは!」

私 「イッテェなぁ…」

嫁 「セーター脱いだからや!(笑)」

私 「1回で放電し切ってくれや…」

嫁 「ラムちゃんみたい(笑)」

私 「体型がちゃうけどな(笑)」

嫁 「…」

私 「空気が凍ったがな…」

・・・

冬場に静電気、というのはよく言われるが、ここ何年か、お互いに頻繁にあちこちで放電している記憶がある。

おそらく、潤いが減ってきているのだろうと思うが、それも、2人して生きている証、と言っておきましょう。

そういや、椎名林檎「私と放電」というアルバムがありましたなぁ。

早くも完治

「そう言えば治ってるわ!」

と嫁。

私が経験したようなきっつい寝違いを、嫁もやってしまったんだろうと見ていたが、3、4日で痛かったことを忘れるくらいに回復したようだ。

私ぎ「やってもた…」と思った何回かは、少なくとも1週間は痛みや重みが続くことが多いのだが…。

自然治癒力が高いのか、そもそも、そんなにキツイものではなかったのか。

もしかすると、嫁の持ち前のポジティブな発想の部分が、より早く完治させる原動力になっているのかもしれない。

オークションで買った株主優待券を使い、リハビリのつもりでスポーツクラブにも行ったことを「あれのおかげ!優待券あって良かったー!」とも言っていた。

ひと月前までは、期限が今年中である優待券があと6枚あること、週に1度は行かないと、使いきれないことに「そらは厳しい…」とプレッシャーを感じていたはずなのだが。

私に聞かれて初めて、もう寝違ったはずのところが痛くないことに気づく呑気さ?

優待券在庫のプレッシャーを券があって良かったと感じ変える柔軟さ?

そう言えば、スポーツクラブに言ったその日は、私が勤め先から帰ってきたときには、布団に入っていて「アカン…運動してきたからか眠すぎる…」と寝言のように言っていた。

そういうのを見ながら、オモロイ嫁てあり、お互いにマイペースな2人やなぁと改めて思うのだった。