(つづき)
そんな楽しくも辛くもあったキャンプが終わって、いよいよ嫁の家にプラスチックの食器を返しに行くのだ。
そして、とにかく、好きだったんです、ということを必ず言おう、とキャンプの時にはすでに決めていたのである。
でも、嫁から何らかの答えをもらおうという発想がなかったので、言うだけ言ってささっと帰ろうと思っていたのだ。
やっぱ恥ずかしいでしょう…
チャリで15分くらいで到着する距離。
そう言えば、この頃は自分の周りで携帯電話なんて持っている人はいなかったし「今から行きます」という連絡は家の電話にしたんだろうか。
意を決して?出発したはずだが、その道中のことは全く覚えていない。
それでも、到着していたのだろう、
ピンポーン♪
「はーい」ガチャ。
私「あ、どうも。これ。」
(プラスチック食器入りの大袋を渡す)
嫁「あーありがとー」
(嫁がそれを家の中に運び込み、改めて玄関先に出てくる)
私「キャンプ楽しかったですね」
嫁「そやねー」
私「・・・」
(あかん、この流れの感じ「好きや!」と言うタイミングが作れへんがな…)
・・・
嫁「あ、そうそう、花火せえへん?」
私「・・・?」
嫁「花火」
私 「花火」
・・・
私「え?あ、うん、はい!やるやる!」
ということで、手持ち花火をやった。
なんやなんやこの展開は・・・!
そのとき何を話したか覚えていないが、こうやって誘ってくれたということは避けられてはないよな…と、少し冷静になって単純に嬉しかったことは覚えている。
それこそ時間が止まればいいのに、という気持ちを実体験したのだ。
女性は気づかないだろうが、男性もそういう気持ちになることがあるのを私は実体験として証明しているんですよ。
しかし、時は残酷な一面も持っていて、花火の在庫が尽きる。
そして、名残惜しいけど帰る感じかなぁとなったとき、もう時間がない!いざ!
私「僕、◯◯先輩のこと好きやったんです」
(おー、言えたで俺! 言えたで俺!)
嫁「私も」
え!? なになに? どういうこと? 何が起こってる? 今どういう状況!?
結構返事早い!?
こういうとき、言葉の意味、状況を理解するのに、結構な時間がかかるものだ。
その後なんの話をしたのか覚えていないし、付き合うとか付き合わないとか、そんな事まで話したんだろうか?覚えていない。
たぶん、だいぶん後になってから、今って付き合ってるということなんかな、と確認した感じだったんじゃないか?覚えていない。
青春だ…
過去のことは、今日のところはこれくらいに。
19年の間にはもちろん離れる時期があったり、周りからすると危機と言われるような状態など、いろいろと無いことはなかったが、今も共にいる嫁。
たまに、馴れ初めなどを思い出してみるのも、夫婦にとって良いことでもあるのかなと、やってみたわけです。