おたずね本

我々夫婦は本が好きだ。

無類の…とは言わないが、ショッピングモールなどに行くと、ほぼ必ず本屋へは立ち寄る。

うちには嫁、私それぞれの本棚があって、好き好きにコレクションしている。

とは言え、スペースには限りがあるので、たまに整理して、読まなくなった本、もう繰り返し読むことはないかなぁと思う本はブックオフなどにまとめて売りに行ったりもする。

最近、それぞれで読んで面白かったものや、おすすめのものを置いておくための共用のスペースをつくった。

読んでみて!と思う本をそこへ置いておき、自分のタイミングで読んでみて、感想を言い合ったりする。

あるとき、読んでいた本の中で紹介されていた人物が気になり、嫁の得意分野かもと思ったので聞いてみた。

私 「◯◯ていう人の本持ってない?」

嫁 「あ、1冊あったはず!」

と「お任せあれ!」とばかりに自分の本棚の方へ小走りで探しに行った。

しばらく戻ってこなかったので様子を見に行くと、何かぶつぶつと独り言のように本棚に向かって喋っている。

嫁 「あれ〜確かに持ってたんやけどなぁ〜、売ったんかなぁ…うーん、あたしすぐ売るからなぁ、いや、あれぇ〜売ったっけなぁ」

見つからないようだ。

私 「ええよええよ、なんかアンタ持ってそうな気がしたから。また読む気になったら本屋で買うわ」

嫁 「確かに持ってて、ちょっと読んでんけど、なんか難しくて途中で読むのやめたんよ。売ったんやったかなぁ?」

私 「いや、俺は分からへんわ…(笑)」

そういえば、前にも1冊そういうのがあって、私は自分で買ったことがある。

それを読んでみて思うのだが、嫁は、理屈っぽく書かれた本はあまり得意でないのだろうと思う。

私もそういう本を読んで、バシッと頭に入っているとは言えないが、何か小難しく書かれた本を読むと、自分が賢くなったような気になって喜んでいるようなところがあるかもしれない。

嫁はそんなことはせず、分からんもんは分からん!と至極ストレートに選別しているのだろう。

だから、今回のおたずね本がどういうタイプのものなのかは察しがつく。

でも、私が読みたいといったものだから、えらく探してくれて、数日間は、

嫁 「売ったんやったかなぁ?」

私 「ええよええよ」

を繰り返していた我々であった。