嫁が、孫子の本を読んでいる。
結構面白いようで、ちょくちょくその話をしてくれる。
超簡単に言うと、負けない、致命傷を負わない、ということを命題として、孫子がどう考えて、事を成していたか、ということが書かれているのだろうと想像する。
孫子に限らず、ことわざとか、言い伝えとか、先人たちが残した言葉に、そういう内容のものはよく出てくるし、昔から言われていることにも関わらず、実践が難しいことというのは往々にしてある。
「勝って兜の緒を占めよ」「急がば回れ」「逃げるが勝ち」といったものもそういうことだろう。
こういう言葉は、言葉そのものに価値があるんじゃなくて、それを読んだ人、見た人、その本人がどれだけ深く感銘を受けるかで、影響度が違うのだと思う。
同じ言葉でも、5年前に見たときは特に何も感じなかったけど、いま読むとすごく沁みる、なんていうこともよくあることだ。
たぶん、その人がその時に必要としている言葉であった場合に、大きな意味を持って吸収できるのだろうと思う。
嫁にとっては、いま孫子の考え方、言葉が吸収しやすい状況なのかもしれない。
ちょっと大袈裟に言うと、嫁はだいたいある物事をやり出して集中し始めると、周りはそっちのけで没頭するタイプであると、本人も言うが、私もそうかなと思う。
孫子の本を読んで感じたことを、嫁が身振り手振りを交えて話す。
嫁 「いま孫子の本読んでて、防御を覚えようとしてる。」
私 「ほぉ」
嫁 「そう。前までは『がぁ~!』って攻めて『がぁ~!』って負けることが多かったんよ」
私 「なるほど」
嫁 「『どぉ~ん!』っと向かっていて『どぉ~ん!』ってやられるっていうか」
私 「うん」
嫁 「勢いづいたら『ぐわぁ~!』って行ってしまうけど、逆に『ぐわぁ~!』って落ちてしまったり」
私 「『がぁ~!』『どぉ~ん!』『ぐわぁ~!』とかほんま関西人やなぁ(笑)。日本語やから普通に話してくれたら分かるよ」
嫁 「あははは!」
私は孫子の本を読んだことがないけれど、嫁から聞いている限りでは、平常心、不動心、沈着冷静、といったワードが浮かんでくる。
その孫子の思想を、この嫁がどういうふうに吸収して消化、昇華していくのかが楽しみである。